キヤノンAL−1

キヤノンAL−1なんですが、私、持っているですよ。でもいま手元にないんです。アメリカに来るときに持ってこなくて、今日本でお留守番をしているのです。私はアメリカに来るに際し、いらないもの、もしくは重要度の低いものは日本に置いていくことにしたんです。つまり、AL−1は「重要度の低いもの」と識別されたのです。私の勤め先は渋いところで、海外赴任に際しても引っ越し費用はだしてくれません。ですからどこぞの大手製造業の海外派遣員のようにように「海外赴任の引っ越し費用は全部会社がだしてくれるので、大型ゴミを東京で捨てると有料だからアメリカまで持ってきて捨てちゃった」(実話)なんてことはあり得ません。まあ、私もアメリカでカメラを買いまくろうと思っていましたので、初めからたくさんあると「またぁ?」と言われかねないと言う事情もあったんですが。

AL−1は基本的に絞り優先AE+マニュアル機です。(マニュアルは1/15秒以上ですが)。このあたりはAV−1との棲み分けがきちんとなされています。当時は初心者用一眼レフという感じで絞り優先AE専用機が各メーカーから発売されて、それなりに人気がありました。AL−1はそれよりひとランク上のユーザーを狙っていたのと思われます。キヤノンのAシリーズのシャッター速度優先AE機は、絞りリングのAマークを外すことによりマニュアル撮影が可能になります。が、これは単にボディからの絞りの制御をレンズ側で切っているだけで、別に付加機能としてマニュアルを可能にしているわけではありません。FDレンズでシャッター速度優先機をつくれば、必然的にマニュアルは可能になるのです。露出計連動マニュアルであればまた話は別のなのですが、キヤノンのAシリーズはAT−1以外はマニュアルの時、露出計は連動しません。そう考えるとAL−1は、わざわざマニュアル用のシャッターダイアルをつけたわけですから、このマニュアル可というのはなかなか大きな意味を持ってきます。明らかにAV−1より上のユーザーを意識していると言っていいでしょう。ただやっぱり露出計は連動しないんですよね。

AL−1の売りはなんと言ってもフォーカスエイドとオートフォーカスです。私は残念ながらオートフォーカス用のレンズは持っていませんのでオートフォーカスがどれ程のものであったかはわかりません。フォーカスエイドについては、十分ピントを合わす上での参考として使えます。ただ、AL−1のスクリーンはスプリットイメージもマイクロプリズムもついていないので、好むと好まざるとにかかわらすマット面とフォーカスインジケーターでピントを合わさなければなりません。スプリットマイクロで十分な人(私)にとっては必ずしもありがたいものではなかったりします。

AL−1が日本で留守番をしている話は最初にしましたが、それではいま手元にあるAV−1は「それより重要度が高い」と判断されたかというとそうではありません。AV−1はこっちで購入したのです。ある日ネットオークションを見ていると、AV−1のブラックが出ていました。私のAシリーズのカメラはA−1は当たり前としてAE−1、AE−1P、AL−1すべて黒です。ここはオールブラックスでグランドスラムを達成しようと言う野望からAV−1の黒を落札しました。リトルスラム達成です。さあ、いよいよ「AT−1の黒!」と思って探したんですが、どこにも見あたりません。あとで知ったのですがAT−1ってブラックボディは作られなかったんですね。がちょーん。

さて、AL−1の話をしたからには避けては通れない話題があります。もう、みなさんご存じのことですが、電池室の蓋の話です。AL−1は他のAシリーズのカメラと違い、酸化銀電池は使用していません。普通の単4アルカリ電池を使います。それはそれで別にいいのですが、問題はプラスチック製の電池室の蓋です。この蓋、どういう訳か強度的に極端な問題があります。早い話、ノッチがおれて蓋が閉まらなくなるのです。普通に使っていると必ずと言っていいほど折れます。現存しているAL−1の半数以上、個人的には8割くらいは壊れているのではないかと思います。もちろんメーカーに在庫はありません。蓋をビニールテープで留めればとりあえずは使えるのですがあまり見栄えの良い物ではありません。私のAL−1もやはり、ノッチが折れていました。ビニールテープはいやだったのでいろいろ工夫をし、金属製のクリップを曲げてノッチの替わりにしてとりあえず見た目にはわからないようにしてあります。じつは折れていない蓋も1個あるのですが、使っていればいずれ壊れるので怖くて使えません。もし、AL−1を売らなければならないようなことになったら、そのとき交換してあげましょう。でもこれって本末転倒ですよね。

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