アメリカンカメラとは

 そもそもアメリカンカメラとは何であろう?それはもちろんアメリカ製のカメラのことである。私は現地に住んでいる関係でアメリカ製の中古カメラを手にする機会がわりと多い。それらは概して個性的で 、言うなれば「ブラボーなカメラ」たちである。昨今日本ではソビエト連邦時代のソ連製カメラが人気である。このサイトにサーバーを貸してくださっている中村さんのFantasticCameraGallaryは有名なソビエトカメラのサイトである。そして日本ではアメリカ製のカメラの知名度は低い。しかし身近に接してみるとアメリカンカメラが結構面白いのである。アメリカ製のカメラを見ているとアメリカ人のブラボーな国民性まで感じられるのである。

 しかし、あなたは現在市場に流れているアメリカ製のカメラと言われて何か思い浮かぶであろうか?

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 そう、現行品はほとんど無いのである。Vivitarがマニュアルフォーカス一眼レフを販売している。しかし、これは日本企業が作ったカメラのOEMである。最近ならVivitarなんかよりもはるかにブランドイメージの高い日本の会社の製品である。アンスコやハネウェルは細々とオートフォーカスのコンパクトカメラを売っているが、これも生産は東南アジアである。これぞアメリカン!と言うようなカメラは残念ながら現在の市場にはない。

 信じられないことがだがアメリカが世界の写真業界を引っ張っていた時期というのが実は存在する。1900年代前半はアメリカが世界のカメラシーンを牽引していたのだ。コダックが節操無くロールフィルムを作っていた時期である。ブローニーに代表されるボックスカメラはカメラの大衆化に大きく貢献した。そもそもコダック製のカメラがなければ写真が一般人の趣味にはなり得なかっただろう。しかし我が世の春は長くは続かずアメリカンカメラは約60年でほぼ市場から駆逐されてしまった。後の30年はOEMの歴史、さらに最近10年は訴訟の歴史である。

 と言うわけでアメリカンカメラを知るためには、40年以上前のカメラに焦点をしぼらならければならない。ところが日本でこの研究をやるのは困難極まりない。40年以上前と言えば、日本は今ほど裕福ではなく、また$1=360円というとんでもないレートのころであり、アメリカ製の高いカメラは日本にはほとんど輸入されなかった。と言うか、円安の為替レートを押してまで輸入する価値のあるカメラではなかった。そのため日本ではアメリカンカメラは比較的品薄である。そして、そのせいかどうかわからないが、高い。
 たとえば、「これぞアメリカン」と言う感じのアーガスC3と言うカメラがある。このカメラのついてはコーナーを設けて詳細に説明するが、はっきり言って安いカメラである。多分アメリカの中古市場なら本体だけなら$20もしないであろう。ちなみに私は完動品を$6で買った。リサイクルショップを回ればもっと安かったかもしれない。それが日本のとある中古カメラ屋さんのウェブページで9,800円で売られていて、しかも2台あったうち1台はすでに売れていたのである。980円の間違いではないかと思った。「たっかー!」である。

 もちろん私が手にしたアメリカンカメラと言うのは数的にはそれほど多くはない。しかし、濃い物ばかりである。そこでちょっとだけその一端を紹介してみたいと思う。






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