アグファ ビリーレコード 4.5

私が保有するカメラの中でもっとも年代が古いカメラです。1930年代前半に作られたのカメラだそうで、約70年前と言うことになります。もちろんアメリカで買いました。近所にあるリサイクルショップの片隅におかれていました。値段はボロボロのケースに入って$20。動くかどうかもわからない状態でしたが、とりあえず悩む値段でもないので、そのまま買ってきました。家に帰ってから動作を確認したのですが、まずシャッターが固着しています。シャッターをチャージしてレバーを倒しても何の反応もありません。セルフタイマーもだめです。どうやら潤滑用のオイルが切れているみたいです。蛇腹も角の部分がボロボロに痛んでいて激しく光線漏れをしています。レンズは一応カビもなくきれいです。そのほかの可動部分も潤滑油が切れているため、動きが悪くなっています。このままではどうしようもありません。画面サイズは6×9ですので、120フィルムで撮影が可能です。このカメラをなんとしても21世紀によみがえらせたい、と言うわけで修理に掛かることにしました。

シャッターはプロンターです。構造が簡単なシャッターですので、ばらして潤滑油を付けことにしました。エド・ロムニーのカメラ修理セットが役に立ちます。このカメラ修理セットはアメリカに来てすぐ買いました。やはり専用工具はいいですね。プロンターの分解は、これまたエド・ロムニーのマニュアルを参考にしました。ある程度まで分解してオイルを指すと今まで固着していたのが嘘のように快調に動き始めました。スローシャッターもセルフタイマーもすべてOKです。あとは、蛇腹ですがこれはもうどうしようもありません。赤瀬川源平氏のコンチュラ物語のまねをして、シャッター幕を四隅に貼り付けることにしました。アメリカではシャッター幕も比較的簡単に手に入ります。マイクロツールと言う会社のホームページから注文して、1週間くらいで届きました。このあたりは本当に便利です。シャッター幕はゴム系の接着剤でつけました。見栄えはよくありませんが、光線漏れは何とかふさがったみたいです。ここまで復旧させるのに2ヶ月もかかりました(修理に取りかかるのに時間がかかっただけです)。

さて、このカメラ、中古もしくは骨董品としてどれくらい価値があるのでしょう。手元にブルーブックがあるので確認してみました。値段Aランク($50以下)。全く価値のないカメラみたいですね。ジャンク状態で$20は実は高かったのかもしれません。しかし、ここまで自分の手で修理をしたら、そんなことはどうでもよくなりました。早速撮影です。

このカメラ、シャッター速度は1秒〜1/150秒まで、レンズはAgfa Anastigmat Apotar 10.5cmがついています。距離計はついていませんので、トライXを入れて思い切り絞り込むことにしました。といっても1/150秒が最速ですので、いやがおうにも絞り込まれるのですが。ファインダーも素通しの枠ですので、正確なフレーミングは望めません。まあ、細かいことは気にしないでゆっくりゆっくり撮影するのが正しいマナーでしょう。

作例はこちらです。よく写っていますね。20世紀前半のカメラが無事21世紀に息を吹き返しました。めでたしめでたしです。ところで、このカメラ6×9なのですが、この作例は正方形フォーマットです。実は私の手元にある引き伸ばし機には6×6のネガキャリアしかありませんでした。しかしこいつのためだけに引き伸ばし機を新調するわけにもいきませんので、(どうせ日本に帰るのですから)横着して6×6で焼いてしまいました。






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