Ansco 1065

 このカメラは年代的にちょっと古そうである。「写ルンです」がブームになり、「それならフィルム交換の出来る写ルンですタイプを」と言うことで雨後の筍のごとく、おもちゃカメラが登場した。1990年代中頃の話である。その時代のおもちゃカメラは、ほとんどが中国製で同じ本体にガワだけ変えて、いろいろなところから発売された。あるいは新聞購読のおまけやガソリン給油のおまけで配られた。

 ところがこのカメラは明らかに中国製の大量に出回っているおもちゃカメラとはものが違う。まず、生産国はマカオである。フィルムカウンターは順算式手動復元。羽根絞りではないが、3段階の絞りがついている。ほとんどプラスチック製であるが、シャッターボタンやフィルム圧着板は金属製で、今のおもちゃカメラよりお金がかかっている。
 驚いたのはファインダーで、テレとワイドのブライトフレームがついている。ブライトフレームだけでも十分びっくりできるのに、さらに交換レンズである。これはもしかすると、かなりのシステムカメラだったのかもしれない。その証拠に専用ストロボも一緒になって売られていた。レンズはANSCONAR LENS F:8/45mm 46φである。

 アンスコという会社は、戦前から戦後にかけてはかなり大きなカメラメーカーで、アグファブランドのカメラの多くはアンスコ製である。しかし他のアメリカのカメラメーカーと同様に、1960年代から70年代に力を落とし、現在ではアグファブランドもアンスコブランドもほとんど姿を見なくなっている。 






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