スケルトンカメラ

 リサイクルショップでこのカメラを見たときは本当に衝撃が身体を走った。

「こんなすばらしいおもちゃカメラは見たことがない。」

 スケルトンである。確か過去にリコーが、比較的まともなスケルトンコンパクトカメラを作ったことがある。持ってはいないが見たことはある。しかし、おもちゃカメラでスケルトンを作るとは恐れ入った。私はおもちゃカメラでも基本的にはストロボが欲しいと思っている。できれば内蔵、最低でもホットシューがついていなければ買わない。この冗談のようなおもちゃカメラを使うのは絶対屋内の方が多いと思うからだ。しかし、このカメラは別格だった。ストロボなんか関係なくなるくらいの強烈なインパクトだった。
 このカメラを見ていると、おもちゃカメラがいかにショボイ材料で出来ていて、どのように動くかがよくわかる。シャッターボタンの反発力はスプリングではなく、プラスチックの弾性である。しかし、おもちゃカメラは立派である。アメリカ製のカメラが1960年代まで実現できなかったセルフコッキングや順算式自動復元のフィルムカウンターをプラスチックだけで実現しているのである。そして、レンズカバーをしているときはシャッターが切れない。ごく当たり前の機能であるが、スケルトンにしてみせつけられると思わず「良くできている、参りました」と言う気分になってしまう。

 このカメラの性能は、おもちゃカメラの最低ラインである。シャッター、絞り、ピントすべて固定。巻き上げ、巻き戻し手動。まさに、フィルム交換の出来る「写ルンです」そのものである。なお、どうでもいい機能だが、アタッチメントを取り付けるとパノラマカメラになる。しかし、ファインダーはノーマルのままなので、万が一パノラマで使う場合は想像力を働かせて撮影しなければならない。

 こんなカメラを使えばウケることは間違いなし。ちょっとした人気者になれるかもしれない。問題はきちんと写るかどうか、それだけである。




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