オリンパスペンEE3

 オリンパスペンシリーズの末期のカメラです。私が実際に販売しているのを知っているペンシリーズはEE3とEFの2機種だけです。EFはペンシリーズには違いないのですが時代の流れを受けてストロボを内蔵したおかげで、ペン独特のシルエットがかなり崩れていますので、正当なペンシリーズはEE3まで、とも言えるかもしれません。私が初めて新品のカメラとしてオリンパス35DCを買ってもらったとき、オリンパスのコンパクトカメラカタログの片隅にペンEE3がひっそりと載っていました。

 実は私はペンシリーズのカメラとは割と縁があります。私が小さかった頃、家にあったカメラはペンSでした。幼稚園の年少組のころ、父が初めてペンSのファインダーを覗かせてくれました。ちょっとブルーがかったファインダーをとおして見た、馬事公苑の馬を今でも鮮明に覚えています。この時期の記憶は曖昧なのですが、なぜか初めて覗いたファインダーだけははっきり覚えているのです。それが私とペンの出会いでした。次のペンはペンEEです。小学校4年生の時に親戚のおじさんがくれたカメラでした。固定焦点、セレン光電池式EEを採用したペンEEシリーズの原点のようなカメラです。このカメラはあまり調子が良くなかったのですが、実質的に初めて手に入れたまともなカメラでした。ペンはキヤノンAシリーズに出会う前の時期に、私のカメラ趣味にとって重要な役割を果たしているのです。ちょっと刷り込まれているかもしれません。その後ペンEEから35DCに進んだのですが、その時ペンEE3を買おうとは思いませんでした。固定焦点に不満があったのです。その数年後にキヤノンA−1を手に入れ、程なくペンはオリンパスのラインアップからも姿を消し、しばらく私の記憶から消え去りました。

 18×24サイズいわゆるハーフサイズカメラの歴史は比較的古く戦前から存在しました。と言うより、写真用35mmフィルムは映画の35mmフィルムの転用がそもそもの始まりで、映画の場合は18×24が標準サイズですので、ハーフサイズこそオリジナルと言うこともできるでしょう。ニコンのレンジファインダーシリーズにもハーフサイズのカメラがありますし、アメリカのユニバーサルというメーカーが出したマーキュリーIIは独特なデザイン、構造で有名です。しかし、日本国内でハーフサイズがブームになるのはオリンパスペンのヒットがきっかけです。その辺りの経緯については詳しく書いてあるホームページがたくさんありますので素人は多くを語りませんが、伝説的なカメラ設計技師、米谷美久さんと言う方の処女作がオリジナルのペンです。ペンはレンズに妥協しなかったため、ハーフサイズとは思えないほどよく写ったのだそうです。確かに私の子供の頃の写真は名刺サイズが多いのですが、文句のつけようのない写りです。やはり、ペンは優秀なカメラだったのです。
 ハーフサイズの利点はなんと言ってもカメラを小さく作ることが出来ることです。画面のサイズが小さくなればレンズも小さく作ることが出来、結果的にカメラ全体の大きさを小さくすることが出来ます。ペンが登場した当時のレンズシャッターカメラはお世辞にもコンパクトとは言えず、手軽に持ち歩くには難がありました。ペンのヒット以降、キヤノンやミノルタ、フジカと言ったメーカーもハーフサイズのカメラを立て続けに発売し、1960年代はハーフサイズがブームになりました。そのハーフブームに水を差したのがローライ35だと言うのが定説です。ペンは優秀なカメラですが、画面の大きさというのは写真の質に直接影響を与える要素です。フルサイズでハーフサイズ並のコンパクトなカメラが出来ればハーフサイズのメリットは無くなります。結局デミもフジカハーフも1970年代には姿を消し、ペンだけがしばらくの間生き残りました。私がカメラの興味を持ったのがこの時期です。オリンパスは最終的にはペンの生産を終了しますが、その後フルサイズで本当にコンパクトなXAシリーズを発売します。私は本当の意味で35mmフルサイズのカメラがハーフサイズ並みの大きさになったのはXAからだと思っています。

 さて、私が再びペンを手に入れたのは、5年ほど前です。買った場所は草加市で行われたのフリーマーケットでした。5年前はネットオークションが今ほど発達していなかったため、フリーマーケットは中古カメラを安く手に入れることが出来る穴場でした。最近店を構えるようになった「カメラの塩田」もフリーマーケットによく出店していました。私のAL−1やペンタックスESIIは塩田さんの店で買った物です。
 私が住んでいた草加市でも年に何回かフリーマーケットがあり、私はよく顔を出していました。そこで発見したのがこのペンEE3です。値段は3000円。レンズに若干カビがある以外は完動品でしたので、迷うことなくいただきました。
 撮影をしてわかったのですが、ハーフサイズであれば固定焦点でも特に大きな問題はありませんでした。昔使っていたペンEEのピントが甘かったときは、固定焦点自体の問題かと思っていたのですが、どうやら使っていたペンEE個体の問題だったようです。今のプラスチック製のコンパクトカメラに比較すると、大きさや重さにメリットはないのですが、ペンEE3で写真を撮っていると小学校の頃に戻ったような新鮮な気持ちになれます。原始的なプログラムEEがついており、撮影者はただシャッターを押すだけです。露出が不十分になるとファインダーに赤いベロがでてシャッターがロックされますが、それ以外に凝った仕掛けはついていません。きわめて単純な、壊れにくい、壊れても直しやすいカメラです。0円プリントの中にはハーフサイズを受け付けてくれるところもあり、日本にいたときは重宝しました。その勢いで結局ペンEE、ペンS、ペンEEDを手に入れてしまい、ちょっとしたペンコレクションが出来上がってしまいました。

 ここに写真があるとおり、ペンEE3はアメリカに持ってきました。しかし、アメリカには0円プリントがなく、ハーフサイズのプリントがどのような扱いになるかわからないためほとんど撮影していません。実は日本から持ってきたフィルムがまだ入っているのです。しかしそれではあまりにまずいのでなんとかしてアメリカにいるうちにプリントしてやろうと思っています。


オリンパスペンシリーズには素晴らしい個人サイトがあります。shinさんのOlympus Pen Galleryです。ペンのことなら何でもわかります




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