キヤノンAE−1

 AE−1は光学メーカーとしてのキヤノンと計算機メーカーとしてのキヤノンがデザインし作り上げたカメラです。AE−1は優れたカメラとしての特徴と優れた電子計算機としての特徴の両方を兼ね備えています。外側はカメラ、内側はコンピューターと言っても良いでしょう。これらの先進技術は、数々の優れた性能をもったシャッター優先AEカメラを、より小さなサイズと重量で、ユニークなアクセサリーとともにローコストで実現しました。
 AE−1の開発コンセプトはカメラの自動化を進め、速写性に優れたAEカメラを作り上げることでした。専用ストロボの155AとパワーワインダーAを装着すれば、あなたのすることはピントを合わせてシャッターを押すだけです。AE−1は155Aを使用するしないに関わらず常に正確な露出を計算します。そして、パワーワインダーAはシャッターを押し続ければ秒間2秒の連写をも可能にします。もちろん155AとパワーワインダーAは同時に使用することができます。これらの機能はすべて自動で行われるのです。 今までのキヤノンのカメラはちょうど大手のメーカーが作る自動車に似ていました。どの車を選んでもすべての要求を満足させるものはなく、ひとつの要求が達成されれば別のものを失うと言う関係でした。しかし、AE−1は違います。
 もしあなたが今カメラを選んでいるのなら、他のカメラの特徴とAE−1を比べてみてください。AE−1に何が出来て何が出来ないのかを他のカメラと比べてみてください。

How it works
 AE−1はあなたの手にフィットします。そして、あなたの手は自然にAE−1の操作をすぐに覚えることが出来るでしょう。操作自体はレバーやダイヤルやボタンをごく自然に動かすだけです。
 カメラの内部では、ダイヤルやスイッチを介した操作が直ちに電気信号に変換されます。カメラの心臓部は中央処理装置、コンピューター用語で言うCPUです。あなたがフィルムを巻き上げ、シャッターをフルストロークまで押すと、以下のようなシークエンスでカメラが機能します。

シャッターボタンを押すと、まず一つ目の回路が閉じ、続いてもう一つの回路が閉じます。一つ目の回路は測光回路でレンズを通ってきた光の量をシリコンフォトセルを使って測ります。電気回路はスイッチオンと同時に測光を開始します。EV1の条件でも、わずか0.04秒で測光と計算を終え、正確な露出を決定します。 もう少し明るければ測光回路はさらに速くなります。
 シリコンフォトセルはアイピースのそばにあります。それはあなたがファインダーで見ているのと同じ像を”見て”います。しかしその像は極端に中央部に偏っています。測光分布が中央部重点になっているため主に縦1/3、横2/3のエリアを測光します。そのほかの部分の特別明るい光がない限りは測光に大きな影響はありません。

 あなたは待つ必要はありません。もしシャッターをワンモーションで押したとしても、カメラが自動的にエラーを回避し、常に正しい露出を保証します。
 シャッターをフルストロークまで押すと、露出シークエンスが始まります。正しい露出はコンピューターで計算され、メモリーに記憶します。コンピューターのコントロールのもと、レンズの絞りが正しい値まで絞られます。

 絞りが選択されたシャッター速度に見合う絞り値で固定され、ミラーが確実に上がったとき、フォーカルプレーンシャッターの先幕が開き始めます。先幕が完全に開いたあと、ストロボ用のX接点回路が閉じます。シャッターが開く時間は、シャッター速度ダイヤルで選ばれたシャッター速度に従い、コンピューターが正確に制御します。必要な時間が経過したあと、コンピューターは後幕を閉める信号を送り、露出が終了します。
 フィルムを巻き上げると、すべての電気的、機械的なシステムはリセットされ、前回の撮影データはすべてクリアされます。カメラは次の撮影の準備を完了します。
 
(AE−1発売直後の米国における広告より、拙訳:BISON)