AL−1

 日本に戻ってきて2年半ぶりにAL−1を使ってみた。なかなかいい手応えであった。Aシリーズのラストバッターとして登場し、そのちょっと変わった個性がことさら注目されたが、どうしてなかなかしっかりした作りのカメラなのである。

 AL−1は今更いうまでもないことだが、フォーカスエイドが売りのカメラである。ちょうど1980年代前半は各メーカーとも一眼レフにオートフォーカスと組み込むことに力を注いでいた。しかし、レンズ固定のコンパクトカメラと違いレンズの交換が前提になっている一眼レフの場合は簡単に組み込めるものではない。最初のオートフォーカス一眼レフはペンタックスME−Fであった。これは、レンズの中に電源とモーターをいれ、フォーカスの制御だけをボディで行っていた。原理的には現在のオートフォーカスとそれほど違わないのだが、性能的には雲泥の差であった。その後オリンパスからOM−40が登場するが、これもオートフォーカスというよりはフォーカスエイドとしての働きが精一杯と言う感じであった。キヤノンAL−1は基本的にオートフォーカスではない。オートフォーカスのレンズもあるにはあったが(NewFD35−70f4AF)、これはレンズ自体ですべて完結しており、A−1にこれを付けてもオートフォーカスになると言う代物であった。AL−1のフォーカスエイドとしても割り切りはこの時代の性能としては妥当であったのだろう。

 しかし、AL−1はフォーカスエイドだけのカメラではない。絞り優先AEとマニュアルが可能であり、ワインダーも装着可能。この時代の中級機としての性能を十分備えている。AシリーズはトップバッターのAE−1以来、電池は6V銀電池(またはアルカリ電池)であったが、AL−1はなぜか単四乾電池2本である。技術の進歩が省電力をもたらしたのだろうか。単四乾電池になったからといって別に電池の消耗が問題になったわけではないから、これはおそらく進歩なのだろう。

 フォーカスエイドは確かに素晴らしい機能だが、これがあるとついフォーカスを機械に頼ってしまうようになる。オートフォーカスの時代なのだから別に機械に頼っても良いのだが、なぜかフォーカス指標がグリーンにならないとシャッターを押せない。機械に任せるのなら最後まで、任せないなら全部自分で、というのが正しい方法かもしれない。