キヤノンAE−1プログラム U.S.NAVY
U.S.NAVYバージョンのキヤノンAE−1プログラムである。いったい米国海軍は何種類のキヤノン製カメラを正式採用したのだろう。とりあえず今現在手元にあるのは6機種だ。AE−1、AE−1P、T−70、F−1、NewF−1、EOS650である。結局e−bay上でわりと頻繁に流通しているU.S.NAVYのボディは、すべて揃えてしまったことになる。文献情報によると他にEFにも海軍バージョンのボディがあることがわかっている。
このAE−1Pはレンズ、パワーワインダーA2とのセットで出品されていた。ついていたレンズはNewFD100mmf2.8である。このレンズもT−70についてきたレンズと同じでピントリングは無限遠固定である。T−70についてきたレンズは絞りリングまでA位置で固定されていたが、AE−1Pについてきたレンズは絞りリングについては特に改造はされていない。また、T−70のレンズは距離表示や絞りの値まですべて消されていたが、このレンズは一見すると普通のNewFDレンズを同じである。明らかに改造された時期が違うようである。AE−1Pの方は、普通に販売されているNewFD100mmf2.8を改造した感じ、T−70の方ははじめから特殊目的で作られた感じである。
ピントが無限遠で固定された100mmレンズを付けていると言うことは、当然このAE−1Pも航空機搭載用の識別カメラであったものと推測される。そうなるとU.S.NAVYバージョンのカメラのは二つの流れがあることが予想される。ひとつはAE−1→AE−1P→T−70のライン。これは航空機搭載用カメラのラインである。航空機に搭載されるカメラは、主に航空母艦の識別圏や領空に接近してくる国籍不明機を要撃し証拠写真を残すために使用される。そのためもっとも重視される機能は簡単確実に撮影できることである。F−14戦闘機であれば後席のレーダー要撃士官が撮影を担当することも可能であるが、単座のF/A−18であれば、パイロットが操縦しながら片手で撮影しなければならない。巻き上げや露出を調整している余裕はない。また、パイロットが必ずしも写真好きであるとは限らないので、なるべく簡単に撮影できた方がいい。さらに、露出が不十分であってもとりあえずシャッターが切れた方がいい。キヤノンのAE一眼レフはおおむねこの要求を満たしている。
AE−1については航空機識別カメラであったと言う証拠はないが、パワーワインダーAのU.S.NAVYバージョンがあるので、おそらく航空機に搭載されていたものと思う。レンズについては何とも言えない。旧FDで改造レンズが見つからないところを見ると、普通のレンズを搭載していたか、自前で改造をしていた可能性もあるだろう。
キヤノンEFについてもこのラインにはいるような気がする。狭い戦闘機のコクピットの中でなるべく簡単に撮影しなければならないことを考えると、1970年代前半にAEを達成していたEFは海軍にとっても十分魅力的であったものと思う。サーボEE付きのF−1はさすがにちょっと大きすぎるだろう。
EOS650がこのラインにはいるかどうかはちょっと判断が付かない。AFは一般用途では便利な機能であるが、航空機から撮影する場合は無限遠固定で十分である。無限遠固定のEFレンズを作るくらいなら、FDシリーズのカメラで十分だと思う。
もう一つのラインがF−1、NewF−1のラインである。たぶんこれらのカメラは基地内のスタジオなどで一般的な用途に使われていたのではないかと思う。堅牢が売り物のF−1が一般的な用途でAEカメラが航空機識別なのは逆なような気もするが、個人的にはこの予想はあっていると思う。この場合のカメラはプロの道具である。もちろんプロカメラマンという意味ではない。プロはその場その場でもっとも状況に適したものを使うわけで、無理してオーバースペックにする必要はない。戦闘機のコクピットで使うなら、軽くて撮り回しが楽で簡単に撮影できる必要がある。この用途ならNewF−1+モードラよりもAE−1P+ワインダーの方が適している。秒間5コマはオーバースペックである。T−50でも十分かもしれない。電池なんて3ヶ月ごとに交換すればよい。カメラだって壊れれば次のカメラに交換すればよいだけである。耐久性の面で航空機搭載カメラに求められる要件は、撮影しない状態で戦闘機のGに耐えられることだけあろう。
さて、私が今注目しているのはA−1である。この2年半、A−1のU.S.NAVYバージョンは見ていない。果たしてあるのだろうか?U.S.NAVYA−1。あればなんとしてでも手に入れたいところだ。海軍がプログラムAEの便利さを評価していればAE−1からA−1に機種更新する可能性はあると思う。逆に言えば航空機識別の用途なら、プログラムAE以外はA−1にメリットはない。巻き上げならワインダーで十分だ。この2年半、見つからなかったと言うことはないのだろうか?
と言う訳なので、私は日本に戻ってからも当分e−bayからは離れられそうにない。
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