EOS650 U.S.NAVY

 なんと、米国海軍はEOSまで使っていたのである。相当キヤノンが好きらしい。ご存じのとおり、一眼レフというのはいったんレンズを揃えてしまうと他のメーカーには簡単には移れない。旧F−1を採用した米国海軍がそのままFDシリーズのカメラを使い続けるのは納得のいく話である。しかし、EOSへの転換は一つのチャンスだったはずだ。レンズのマウントが変わってもなおキヤノンを使い続けた海軍は立派だと思う。と言うことは海軍は今でもEOSを使っているのだろうか?

 海軍のEOS650は普通の民生用EOS650である。取り立てて変わった装備や改造はなされていない。というか、海軍に採用されたキヤノンのカメラはみんな一般に売られたカメラと同じである。レンズについては距離と絞りリングが固定されたNewFD100mmf2.8があるがそれ以外はすべてオリジナルの状態である。それだけキヤノンのカメラの性能や信頼性が高かったということが言えるかもしれない。
 一般用のEOS650と違うのは単にU.S.NAVYの刻印があるだけである。EOSのプラスチックボディに白く彫り込まれている。

 このカメラが海軍でどのような用途に使われていたかは興味深いところである。私はT70のような航空機の識別カメラではないと思っている。私はかつてEOS630を使っていた時期がある。そのとき、何度か飛行機の写真を撮ろうと試みてうまくいかなかった。ピントが合わせられなかったのである。もしかすると慣れのせいかもしれないが、初期のAFで飛行機を追うのは困難だったのは間違いないと思う。実際、遠くで豆粒のようにしか見えない接近してくる飛行機をきちんととらえるのは難しかった。ヘリコイドを無限遠にして待ち構えていると次第に飛行機が見えてくる。見えてきた飛行機をファインダーの中心に持ってきてシャッターを半押し。するとカメラがピントを合わせきれず、いきなり近距離方向へヘリコイドが高速移動。当然ファインダー内の飛行機は見えなくなり、それ以降の追随は不可能。慌ててマニュアルに切り替えてピントを合わせているうちに爆音だけが遠ざかって行く。と言う状況だった。最近の航空ショーはEOSの独壇場である。たぶんこのあたりの問題は完全に解決されたのだろう。
 今のEOSならともかく、やはりこのEOS650は比較的穏やかな用途に使われていたのではないかと思う。そうは言いながらもU.S.NAVYの刻印を格好いいと思う私には軍用カメラマニアの血が流れているのかもしれない。


 このカメラはe-bayで落札した。この売り主は海軍から10台EOS650を払い下げられ順次売っていると言う話していた。ちなみに私のは9台目である。なぜ、海軍のカメラが流出するのか、本当に謎である。





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