キヤノンNewF−1 US.NAVY
このカメラは中古カメラ屋さんでは一度も見たことがない。カメラトレードショーにもなかった。しかしe−bayにはふた月に一度くらいの割合で登場する。そんなカメラである。こうなるとネットオークションというのは偉大だ。おそらくe−bayがなければこのカメラを手にすることはできなかっただろう。
このカメラは欲しかった。アメリカに来てすぐにNAVYバージョンの旧F−1を手に入れ、その後なんだかんだ言いながら、AE−1、T−70、EOS650と揃ってしまった。NAVYモノと言うだけあって立派な艦隊が出来上がりつつある。しかし立派な艦隊には立派な旗艦が必要だ。今までは旧F−1が旗艦をつとめていたわけだが、EOS650が戦列に加わってくるようになると、さすがに旧F−1ではバランスが悪くなってきた。一応EOS650が発売されていた頃のフラッグシップはNewF−1である。やはり、キヤノンU.S.NAVY艦隊の旗艦ならNewF−1にしたい。それにこのカメラはおそらく日本では物がなくて手に入らないか、手に入っても法外な値が付きそうである。ここはやはりアメリカで買っておかなければならないだろう。なんか、帰国が近づいてから日本では手に入りにくそうな物を立て続けに買ったり落札したりしているが、大丈夫だろうか。
さて、合衆国海軍がキヤノンFDシリーズのカメラを正式採用していたのはもはや有名な話だ。旧F−1を長く使っていたのだから、当然の流れとしてNewF−1を採用したのであろう。今まで私が確認した海軍のNewF−1はすべてアイレベルファインダー付きである。AEファインダー付きのボディは見たことがない。AE−1やAE−1プログラム用にワインダーがあるので、もしかするとNewF−1用のモードラかワインダーがあるかもしれないが、これも私は今まで見たことがない。つまり、NAVYバージョンのNewF−1は中古市場では一番あっさりしたスタイルで流通している。
私のNewF−1はボディ正面向かって右肩にU.S.NAVYと彫り込まれている。実はこの彫り込みには2種類あって、ボディの後ろ側(裏蓋側)の右肩部に彫り込まれているものもある。私は一台しか持っていないのでこれらの違いについてはわからないが、まあ契約時期の違いくらいの理由であろう。私のボディは1826**番でNewF−1としては初期型、フィルム感度設定ダイヤルの文字も緑色である。U.S.NAVYが裏に彫り込まれているボディはもっと新しいのかもしれない。
海軍のNewF−1は、物によって差はあるだろうがかなり酷使されたと思われる物が多い。パーツの一部に欠損があったり、ジャンク状態で売られていることが少なくない。e−bayに出回っているNAVYもののNewF−1は半数近くが何らかの故障を抱えているような気がする。海軍のNewF−1はかなりハードの任務につけられていたのかな?と思ってしまうくらいだ。
そういえば少し前の話だが、e−bayで巻き上げのためのスプロケットが欠損したNewF−1が出品されていた。誰かが落札しそのまま忘却の彼方に消えかけていたある日、日本のヤフーオークションにどう考えても同じとしか思えないカメラが出品されていた。はじめから転売するつもりだったのか、直ると思っていたのが直らなかったのかはわからない。しかし、このカメラなら転売も可能かもしれない。もし、どこかでU.S.NAVYのNewF−1に魅せられたら、慎重に程度の確認をすることをお奨めする。
実は最近知ったのだが旧F−1の方はどうやら陸軍にも採用されていたらしい。またまたe−bay情報で申し訳ないが、KS−99と言う名前で旧F−1の末期に採用されていたようである。ただ、ボディにはU.S.ARMYの文字は彫り込まれていないらしい。陸軍用のジュラルミンケースに入ってNewFD35f2.8、NewFD80-200f4、アングルファインダー、Vivitar製ストロボ、アングルファインダーとセットで使われていたようだ。この形で出品されている。しかし、やはりせっかく陸軍で採用したのならぜひU.S.ARMYを彫り込んで欲しいと思うのは私だけではないだろう。
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