アサヒペンタックスS2スーパー

 SAMURAIはいじくるところがなくてつまらない、EOS630は操作が煩雑でいまいち使いこなせない、という状況のなか、私は新たな解決策を探していた。要は、使いこなせる一眼レフが欲しいわけであり、ここで中古ででもキヤノンA−1が出てくればよかったのだろうが、現実はそうはならなかった。私は極端から極端に走ってしまった。フルマニュアル、メカニカルカメラである。そう、かつて手に入れながら故障で使い切れなかった、アサヒペンタックスS2の再登場である。このカメラは新宿のアルプス堂で購入した。レンズはスーパータクマーの50mmf1.8がついていた。
 このカメラは、オートどころかマニュアル露出計すらついていない、完全なマニュアルカメラである。露出は自分の責任で決めて、自分の責任でシャッターを切る。すべて自分でしなければならないカメラなのだ。SAMURAIと違って、操作するところはいくらでもある。フィルムだって自分で巻き上げなければ撮影が出来ないのだ。しかし、EOS630のように、煩雑な操作は必要ない。操作に戸惑うこともない。巻き上げて、シャッター速度と絞りを調整してピントを合わせてシャッターボタンを押すだけである。即写性はEOSにはかなわない。しかし、操作に戸惑うこともないカメラなのだ。

 私はEOS630を持っていながら、アサヒペンタックスS2を手に入れ、状況に応じて使い分けるようになった。しばらくしてキヤノンオートボーイ2を拾った(譲ってもらった)。その頃は気づいていなかったが、どうやらこのあたりが私の中古カメラとの交わりの始まりかもしれない。その後数年して、再びA−1を手にしたあたりから泥沼が始まるのだが、それはもうご存知の話である。