(3)コンピューター制御

これはAシリーズの特徴であって長所です。コンピューター制御のおかげで安価にAE一眼レフが供給でき、写真業界の裾野を広げたのです。この功績は誰にも否定できない、と思っていました。

ところが2年ほど前ですがとある雑誌に「AE−1はカメラのコンピューター化を進めた張本人であり、今のカメラが魅力ないのは元をたどればAE−1のせいだ。AE−1の罪は重い」と言うような記事が載っていて思わずのけぞってしまいました。手元にその雑誌がないので、正確ではないのですがそんなような内容のことが書いてあったのは間違いありません(記憶モードですので雑誌名は控えさせていただきます)。プロカメラマンだったか、ただのライターだったか忘れましたが、それはあんまりでしょう。これでは「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」になってしまいます。しかもその雑誌は中古カメラを買う上でのノウハウを指南しているような雑誌ですので、なおさら気になりました。

私は今のカメラが面白くないとは思いません(AF一眼レフは持っていませんけど)。オート化、高性能化を求めて走った結論であり、あれはあれで十分魅力があります。もちろん、物事の進化が進めばアンチテーゼは出てきますし、少数意見であれ、それは貴重な意見です(最近では必ずしも少数意見ではなくなり、ニコンS3の復刻や、フォクトレンダーベッサシリーズの形で実を結びつつありますが)。ただ、雑誌に中古カメラ購入のノウハウを語るような人が、余り極端な意見に凝り固まっていては良くないのではないかと思うのです。

Aシリーズがコンピューター制御を採用したのは悪いことですか?いいえ、絶対そんなことはありません。おそらくAE−1がやらなくても、誰かがやったでしょう。オイルショックで冷え込んでいたカメラ業界に喝を入れたAE−1は賞賛に値するでしょう。AE−1があのタイミングで出なければ日本のカメラ業界は死滅していたかもしれません。実際にAE−1発売のあと、コンピューター化に移行できなかったメーカーは消滅しています。Aシリーズのカメラ業界に与えた影響は計り知れません。

フルマニュアルのカメラの魅力と言うのは私も理解できます。というか、フルマニュアルのカメラは何台も持っています。1930年代の蛇腹式のカメラが21世紀によみがえったときは感動すら覚えました。ただ、露出計が内蔵され、AE化の道が開かれたとき、コンピューター制御は避けられない状況になりました。コンピューターを使用していないキヤノンEFとAE−1の操作はほとんど同じです。コンピューターを使用した分だけ安く、安定したカメラになったのです。まあ、本当にコンピューターがその真価を発揮するのはA−1からだと思うのですが、それにしてもコンピューター制御は当然の方向だったといえるでしょう。

これはAシリーズの特徴であって長所です。



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