キヤノンA−1シリアル調査の考察

シリアル番号 パトローネ室製造年 製造月 製造工場
007*** 1978 4
10004* 1978 3
139*** 1978 7
144*** 1978 7
152*** 1978 4
161*** 1978 6
161*** 不明 6
168*** 1978 10
170*** 1978 8
170*** 1978 11
178*** 1978 9
207*** 1978 7
264*** 1978 10
279*** 1978 12
303*** 1978 12
324*** 1979 2
336*** 1979 2
339*** 1979 2
349*** 1979 3
357*** 1979 3
41**** 1979 4
421*** 1979 4
438*** 1979 7
446*** 1979 6
451*** 1979 5
473*** 1979 3
491*** 1979 6
507*** 1979
528***
536*** 1979 8 F
554*** 1979 9
579*** 1979 9
584*** 1979 9 F
565***
619*** 1979 11 F
639*** 1979 11 F
654*** 1979 11 F
714621 不明 不明
749*** 1980 2
754*** 1980 2
882*** 1980 5
897*** 1980 5
919*** 1980 6
960*** 1980
980*** なし
992*** 1980 7 F
1010*** 1980 8 R
1025*** 1980 8 R
1050*** 1980 9 R
1056*** 1980 7
1116*** 1980 10 F
1147*** 1980 11 F
1149*** 1980 11 F
1152*** 1980 11 F
1155*** 1980 11 F
1195*** 1980 12
1212*** 1980 12 F
1247*** 1981 1
1247*** 1981 1
1267*** 1981 3
1271*** 1981 2
1272*** 1981 2
1281*** 1981 2
1285*** 1981 2
1299*** 1981 ?
1348*** ? 4 F
1369*** 1981 4
1374*** 1981 5
1407*** 1981 5
1529*** 1981 8 F
1534*** 1981 7 F
1542*** 1981 7
1564*** 1981 9 F
1564*** 1981 9
1611*** 不明 不明
1727*** 1982 2
1733*** 1982
1797*** 1982 3 F
1869*** 1982
1880*** 1982 7 F
1883*** 1982 7 F
1886*** 1982 7
1901*** 1982
1916*** 1982 10
1917*** 1982 10
1971*** 1983 2
1974*** 1983 2
1975*** 1983 2
2032*** 1983 5
2067*** 1983 7
2082*** 1983 7
2083*** 1983 7
2127*** 1983 9
2128*** 1983 9
2166*** 1983 11
2169*** 1983 11
2179*** 1983 1
2188*** 1982 9 FC
2193*** 1983 1
2230*** 1983 9
2272*** 1984 5
2275*** 1983 6
2277*** 1984 6
2279*** 1984 6
2322*** 1984 10
2338*** 1984 11
2340*** 1984 11
2346*** 1984 12
2347*** 1984 12
2347*** 1984 12
2365*** 1985 3
2417*** 1986 2
2430*** 1983 11
24344** 1983 9 O
24345** 1984 7
2434*** 1983 6
2438*** 1983 5 Y
8002*** 1982 3
8003*** 1984 12

皆様のおかげで2ヶ月に渡って、A−1のシリアル調査を実施いたしました。ありがとうございました。これからも継続的に情報を集めてさらに充実させていこうと思っていますが、ここでいったん考察を実施したいと思います。

 まず、調査をはじめた段階で、私はキヤノン年号は絶対信頼できるものだと思っていました。つまり組み立ての最終段階でスタンプされ、正確な製造年月を示していると思ったのです。ところが、生産後半になるにしたがってシリアル番号と年号のずれが著しくなっていることがわかりました。特にシリアル番号200万番以降は、年号がばらつくようになってきます。はじめはシリアル番号が一連になっていないのではないかと疑いました。しかし真相はどうやらキヤノン年号のほうにあったようです。調査中に「キヤノン年号と言われる記号は最終的な組み立て時期を示すものではなく、パトローネ室のパーツを作った時期ではないか」と言う情報が寄せられました。たしかに、キヤノンはシリアルと製造年月日の整合表を持っているわけですから、何もパトローネ室に暗号を入れる必要はありません。われわれに解読する楽しみを与えようとしたファンサービスでもなさそうです。キヤノンのカメラは気をつけてみると、いろいろなところに暗号が書いてあるそうです。たとえば電池室を空けてみると、電池室のふたにパトローネ室とは別の暗号が書いてあります。また、レンズの後ろ側にも年号が書いてあります。と言うわけで、パトローネ室の記号はあくまで「パトローネ室の部品が作られた時期である」と言う仮定で考察を進めて行きたいと思います。

 製造開始の000001〜2000000までは、キヤノン年号とシリアルはおおむね整合がとれています。一般に部品と言うのはパーツとしてとっておくと倉庫代がかさみますから、出来るだけ早く製品化して販売ルートに乗せるはずです。つまり、1978年から1982年半ばまでのキヤノン年号は、パーツ生産から製品組み立てまでのタイムラグはあるにせよ、おおむね正しい製造年月を示しているものと考えられます。

それにしたがって考えると1978年から1982年までの生産数は以下の表のようになります。

年間生産数 シリアル番号 平均月産数
1978 30万台 000001〜310000 25000
1979 40万台 310000〜700000 30000
1980 53万台 710000〜1230000 45000
1981 45万台 1230000〜1680000 38000
1982 27万台 1680000〜1950000 23000


中間考察でも述べたようにキヤノンA−1の生産ピークは1980年と見てよさそうです。1981年にAE−1Pが発売されていますから、生産が少しずつ落ちてきているのでしょう。また、AE−1PとA−1は共通部品が多いそうですから、パトローネ室の年号に偏りが出る可能性もあります。1982年には最盛期の半分くらいまで落ち込んでいます。

 さて、それでは問題の200万番以降です。シリアルと年号のずれが大きくなっていてほとんど予想不能です。シリアルと年号の流れを見ると、240万番台に1983年と1984年が出てきます。どうやらキヤノンは1983年と1984年に部品のストックを行ったようです。この意図はわかりません。工業生産品と言うのはある時期に将来の修理のための補用部品を確保するものなのかもしれません。メーカーが部品のストックをはじめると年号はほとんど意味をなさなくなります。

 1983年は途中まではなんとなく製造月とシリアルに相関関係がありそうですが、2193***では突然1月に作られたパーツを使っています。そして1984年の上半期に作られたパトローネ室はどこにも出てきません。この時期のパーツはAE−1Pに使われたのでしょうか?サンプル数が限られていますので何とも言えないですね。2279***番以降はまた、シリアルと年号に整合性が見られます。ちょっと強引ですが1984年後半分のデータと2年間の合計生産数からそれぞれの年の生産数を予想してみます。

年間生産数 シリアル番号 平均月産数
1983 24万台 1950000〜2210000 20000
1984 16万台 2210000〜2350000 13000


1985年と1986年はどのようになっているのか皆目見当がつきません。しかし、1986年2月に作られたパーツが使われている個体があるところを見ると、その時期まで部品の生産は行われていたようです。そしてその後はストックしたパーツを使いながら細々と生産が続けられていたものと思います。今のところ最も番号の若いA−1は2438***です。ここから推測すると1985年から86年の間に88,000台生産されたようです。

年間生産数 シリアル番号 平均月産数
1985〜86 9万台 2350000〜2440000 3800


最後に800万番台のカメラがあります。これは修理でトップカバーが交換されたものです。実は、8003***番は実際に修理に出してトップカバーを交換後、割り当てられた番号なのだそうです。ですから時々、800万番台のものを見かけますが、シリアルと年号の整合性は見られません。

と言うわけで、キヤノンA−1のシリアル番号調査は私としてはかなり大きな成果をあげることが出来たように思います(自画自賛)。キヤノン年号が必ずしも正確に組み立て時期を示しているわけではないこともわかりました。

 キヤノンA−1は約250万台生産されました。生産時期は1978年から1986年までです。最盛期は1980年で月産45000台近く生産されていたようです。と言うことで一応の結論にしたいと思います。

 A−1のシリアル調査は引き続き行いますので、新たな情報があればどんどん送ってください、このページの情報を充実させて行きます。まもなくAE−1Pのシリアル調査を実施したいと思っています。その際はまたご協力をお願いいたします。

年間生産数 シリアル番号 平均月産数
1978 30万台 000001〜310000 25000
1979 40万台 310000〜700000 30000
1980 53万台 710000〜1230000 45000
1981 45万台 1230000〜1680000 38000
1982 27万台 1680000〜1950000 23000
1983 24万台 1950000〜2210000 20000
1984 16万台 2210000〜2350000 13000
1985〜86 9万台 2350000〜2440000 3800








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