アメリカ電気製品事情

別にアメリカで売っている電気製品がすべてアメリカ製なわけではなく、ほとんどが日本か韓国、あるいはその他の国のメーカーですので、アメリカのせいばかりではないのですが、それにしても「アメリカの電気製品はよく壊れる!」。みなさんの家に白熱灯の電灯がまだあるでしょうか。いま住んでいる私の家は古い家なので蛍光灯よりも白熱灯の方が多いのですが、実によく電球が切れるんです。冗談ではなく10日に1度は電球を交換しています。1個の電球の寿命は半年以下ではないかと思います。メーカーはGE(ジェネラル エレクトリック)。電球の質が悪いのか、電気が不安定なのかわかりませんがあまりにひどい状況です。ただ、電球の値段はものすごく安くバーゲンの時なら4個で$1なんてこともあります。つまり、「安くて質の悪いものを大量に使う、そして壊れたら捨てる」と言うシステム?が出来上がっているようなのです。しかし、甘く見てはいけません。半世紀ほど前、日本はアメリカの、この「量」に負けたのです。

電球を例に取りましたが、一般的にアメリカの電気製品やハードウェアの故障率は私が日本で経験したものよりはるかに高いと思います。アメリカでは家電品やコンピューターを買うと、保険にはいることを強く勧められます。この保険の金額がバカにならないくらい高いのですが、これに入っておけば故障の場合は無条件で新品と交換になります。私はアメリカでコンピューターを買ったのですが(モニター付き$800の激安パソコン、しかし一応PIII550)、その時も、保険にはいることを強く勧められました。保険金額は$150。えーー、本体の約20%?と思っていったん断ったのですが、店員が訳の分からない英語でまくし立てるので、頭がボーとしてきて結局入ってしまいました。いまにして思えば大正解でした。保険に入っておけば本当に簡単に交換してくれるのです。その後、携帯電話($150)を買ったときも保険に入りました($50)。その携帯電話が買って2ヶ月で壊れました。充電したりしなかったりという、きわめて説明しにくい故障です。いわゆる再現性の薄い故障です。これをどうやって英語で説明しようか悩みつつ携帯電話を買った店に持っていきました。ところが検査なんかしません。どこが故障したかだけを聞いて箱も開けないで「はい、新品!」です。洗面所に携帯電話を落としても交換してくれるそうですから、これはすごいシステムです。私のパソコンもそのうち故障するかもしれません。もう、同等品は作っていませんから「しかたないなぁ、PIII 1GHzでがまんするかぁ」と言うことになりうるわけです。 

もう一つ日本のシステムと異なるのが返品です。アメリカでは開封したソフトウェア以外は、ほとんどのものが無条件で返品可能です。もちろん30日とか60日という期限はあるのですが、期限以内であればいかなる理由でも返品可能です。もちろん開封してあってもかまいません。「買ってみたけどやっぱり気に入らないから返す」と言うことも可能です。私も電動マッサージマシンを購入し、どうも具合が悪いので翌日返品したことがありますが、理由も聞かれず淡々と精算してくれました。アメリカではどこのスーパーにも返品を受け付ける「カスタマーサービス」というカウンターがあり、いつも長蛇の列ができています。この列に並ぶ苦痛だけが返品を思いとどまられるファクターになっています。要は気に入らなければほとんど迷うことなく「返品カウンターへGO!」というわけです。日本なら、初期故障でもない限りは返品なんて考えられないですよね。ただ、これも故障率の高さゆえだと思います。

最初にも書きましたが、これらの製品が必ずしもアメリカ製であるわけではありません。と言うよりアメリカ製のものはほとんどないでしょう。家電部門において見かけるアメリカのメーカーはRCAくらいのものです。私が買うのは安いのもばかりですから、どこで作られているかもわからないような、聞いたことのないメーカーのものが多いです。安さを追求すれば4ヘッドのビデオデッキが$50、DVDプレーヤーが$90で手に入ります。こういう安くて質もそれなりのものは日本市場には流れてこないんでしょうね。アメリカで売っている日本のメーカーのものは値段は高いですが、質もそれなりに高いようです。

さあて、どっちを取るかですよね。安くて質が悪くても使えればよしとするか、値段は高くてもクオリティの高い生活を目指すか。

私ですか?私はもちろん「安くて質が悪くても使えれば」OKです。

本当のアメリカ製品の実力ってどんなものなのでしょう。みなさんの周りにアメリカ製品ってどれくらいあるでしょう。よく考えてみるとあんまりないんですよね。純粋なアメリカ製で思いつくものはコンピューターのCPU(インテル、AMD)とソフト、それに戦闘機くらいでしょうか(身近かどうかは別として)。コンピューターのCPUはたぶん技術的には日本でも同等かそれ以上のものが作れるでしょうが(今すぐという意味ではなく)、商売になるかというと難しそうですね。商売になるめどが立たないからこそ作ろうとしないんでしょう。ソフトも結局は同じです。強引というか力ワザでマイクロソフトが世界を牛耳っていますが、もし、日本でTRONが普及していれば世の中変わっていたかもしれません。この場合のアメリカは技術というよりは商売上手と言う感じです。F−15戦闘機はアメリカ製ですね。乗ったことはありませんが、いい戦闘機だそうです。「あれほどの戦闘機を作れるのに、どうして電球がすぐ切れるんだ」というのは当然の疑問です。しかも電球を作っているGEはプラットアンドホイトニーとともにF−15のエンジンを作っているメーカーではないですか!本当に大丈夫かF−15。

アメリカの家電技術とそのほかの本当の意味での最先端技術には相当大きなギャップがあるようです。もっともそうでなければ、あんなにとってもすてきなカメラを作っているロシアがMig29やSu−27を作れることの説明が付きません。その辺のバランスのいい日本はきわめて健全な国だと言えるでしょう。






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