アメリカカメラ事情 その2 アメリカの中古カメラは安い?


5〜6年前のカメラ情報誌を見ると、海外の通信販売の利用法などが紹介されていることがある。シャッターバグを買って物色し、アメリカの通販ショップにファックスでカメラの程度などを照会し、最終的にまたファックスで注文して購入、という流れだったのだろう。その当時はアメリカに限らず海外の中古カメラは日本より安かったらしい。

 インターネットやネットオークションが発達した現在、国による中古カメラの価格差はなくなる傾向にあるようだ。私も中古カメラのトレードショーに出かけたりネットオークションで落札したりすることがあるが、ものすごく安いというのはまれである(だからおもしろいと言う話もあるのだが)。キヤノンA−1ならアメリカでも$200〜300はするし、AE−1クラスでもオークションなら最終的には$100を超えるものが多い。日本から輸送費をかけて購入するメリットはなくなりつつあると言っていいだろう。ただ気を付けていると、時々ものすごく安いものにぶつかるのも事実である。アメリカに来て分かったのだが、日本とアメリカでは人気のある機種が違うことがある。なぜかアメリカで人気がないのがキヤノンF−1(Newではない方)である。私が住んでいた当時の日本(1999年頃)では、キヤノンF−1はよほど程度の悪いものでもない限り、5万円は下らなかった。しかし、アメリカでは程度の良いものでも$500まではめったに行かない。普通程度で$200〜300くらいで手に入る。私の持っているF−1は2台ともアメリカで買ったものだが、どちらも$200前後で手に入れた。程度もそれほど悪くはない。もしかすると日本でもF−1は値段が下がっているのだろうか?その他、日本ではあまり見かけないカメラも安く手に入ることがある。日本では舶来とされるメーカーのものは、当然日本より安い。ただ、全般的に見て中古カメラ全体が日本より安いということは最早ないと思う。

 アメリカの物価は一般に日本より安めだと思う。原因の一つは為替レートが円高傾向にあるということなのだが、実際$1=120円くらいまでなら明らかにアメリカの物価の方が安く感じる。たとえば、日本で120円する缶入りの350mlジュースはアメリカでは50セントである。野菜や果物も圧倒的に安い。電機製品も日本のものに比べて付加機能が省かれているとはいえやっぱり安い。税金の関係でガソリンが安い($1.60/ガロン=¥51/リットル)、高速道路はほとんどすべてタダという環境が、輸送費の低下をもたらしすべてのものの価格を安くしている点も見逃せないと思う。公共料金、電話代等、すべて日本より安い。そうしてみると、アメリカの中古カメラが日本の値段とそんなに変わらないということは、アメリカ人にとっては中古でもカメラは高いということになるかもしれない。アメリカの缶ジュースの値段が日本の半分以下なのだから、カメラの値段も半分以下でないと割に合わなくなるだろう。

 インターネットが普及するまでは、アメリカのカメラは日本より安かったという話だ。しかしアメリカ人にとってはその頃の値段が適正価格だったのかもしれない。バブル景気で円高傾向の中、日本人がアメリカ市場の価格を吊り上げた可能性は十分あると思う。また、ここ数年続いたアメリカの好景気も中古カメラの値段をつり上げた一つの要因かもしれない。ただ、アメリカも景気は減速傾向、カメラの値段もまた下がる可能性もある。アメリカではここ半年(2001年上半期)で、かなりの小売店が閉店した。この辺は日本より露骨でダイレクトである。ネットオークションの価格も去年の今ごろより安めになっているような気さえする。ここは一つ、アメリカの中古市場に注目してもいいかもしれない。かつての様にはならないだろうが、日本よりは割安感が出るかもしない。






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