アメリカカメラ事情その3 アメリカフィルム事情
私はただカメラをいじっているだけではなく、一応写真も撮るので当然どこに行ってもフィルムが必要になる。というわけで今回はアメリカのフィルム事情について紹介したい。
まず初めに日本での話になるが、私は日本では主にアグファのカラーフィルムを使っていた。比較的マイナーなアグファにこだわっていたのには理由がある。というのは、アグファの穏やかな発色がFDレンズの優れたカラーバランスとあいまって...
というのは嘘で単に一番安かったからである。当時はアグファのフィルムが一番安く手に入った。今でもそうかもしれないが、新宿のヨドバシカメラや中野のフジヤカメラに行けば、アグファのネガカラーISO400、36枚撮りが5本パックで1,500円を切る値段で売っていた。1本あたり300円弱。これは期限切れでなく、安定して入手できるISO400のフィルムとしては私の知る限り最も安いものだった。一コマあたり8.33円になる。24枚撮りなら、ダイエーセービングのフィルムも3本セットで590円だから、これもなかなかお買い得ではある。セービングのフィルムの中身は時期によりまちまちで、アグファだったりコニカカラーだったりするが、私はたいして気にしていなかった。ただ、私は0円プリントの愛好者だったので、36枚撮りの方がよりお買い得だったと言うだけの話である(こんな私に発色とかカラーバランスなんて言葉を使う資格は当然ない)。
カラーバランスや発色という話は、私は日本にいた頃は本当に全然気にしていなかった。アグファのフィルムと日本のレンズと0円プリントで十分満足の行く仕上がりだったからである。FDレンズに限らず、ジャンク寸前のレンズ専門メーカーの、しかもちょっと古めのズームレンズであってもサービスサイズで不満のでることはまずなかった。ところがアメリカに来て手に入れたレンズには驚かされた。そんなに古くないおそらく80年代前半のモノであろうズームレンズの性能が、この私をしても我慢できないほど悪いのだ。たまたまハズレだったのかもしれないが、QUANTARAYのというメーカーのレンズで、普通に撮影しても周辺が豪快に流れて、まともには写らない。露出間ズームでもしたのかと思うほどである。後日書くが、カラープリントの質もあまりよくない。日本の技術力の高さを痛感した次第である。
さて、アメリカでも私は基本的に初心を忘れることなくフィルムを探した。つまり、「少しでも安いフィルムを探す」ということに尽きる。まず、アメリカに来て驚いたのはコニカのフィルムが全くないことだ。これは例によってコロラド州だからかもしれない。ニューヨークあたりの都会に行けばコニカカラーがあるかもしれない。しかしコロラド州のフィルム売り場は緑と黄色の争いである。フジフイルムは健闘していると思う。どこのスーパーに行ってもカメラ屋に行ってもフジとコダックは絶対に置いてあり、値段はフジの方が少し安い。36枚撮りのフィルムは安売りの対象にはなっておらず、24枚撮りが4本入ってフジが$7.58、コダックはそれより約$1高。$1=120円とすると1枚あたり9.5円、これなら少し日本の方が安いことになる。ただ、アメリカのフジフイルムにはもう少し割引があって、実際にはひとパック$6.58で購入できる。4本パックのパッケージの裏にクーポンが付いていて、次に買う時は$1引きになるのだ。フィルムを買えばパッケージの裏に必ず割引券が付いてくるから、実質常に$1引きで買えるわけである。4本$6.58で計算すると、1枚あたり8.23円ということで日本並みになった。ちなみにフィルムのブランドはフジがSUPERIA、コダックがMAXである。その他、スーパーマーケットが独自のブランドでフィルムを売っていたりするのは日本と同じだ。スーパーブランドのフィルムは1本単位ならわりと安いのだが、フジの4本パックの安さにはかなわない。カメラ屋さんに行けばアグファも売っているのだが値段に魅力がありませんので購入の対象にはなっていない(全くポリシーがあるのかないのか自分でも分からない)。
こうやって見ると日本もアメリカのフィルムの値段はそんなに変わらないということになる。ただ、条件があり「安い」ことだけにこだわればである。フジのSUPERIAだけを見れば間違いなくアメリカの方が安いだろう。ところでSUPERIAって日本にも売っているのだろうか。日本では安さに目が眩んでアグファしか使ってなかったのでフジのフィルムについてはよく知らないのだ。フジのフィルムはダンピング問題になったことがあったが、アメリカでは確かにフジのフィルムは安い。日本にいた時は外国製のフィルムを使って、アメリカに来てからはフジを使うという何とも情けない状況になっているが、、まあ安いので満足している。アメリカには0円プリントはないので、24枚撮りでもOKである。
蛇足になるが、アメリカフィルム事情のもう一つの特色が110フィルムである。日本では大きなカメラ量販店の片隅に小さく置いてある110フィルムだが、アメリカでは普通のスーパーマーケットに普通に置いてある。まだ、110フィルムのニーズがあるらしく、驚くべきことに110の新品のカメラ(コダック製)もまだ売っている。ラボの方も35mmと大体同じ対応で引き受けてくれる。物持ちの良いアメリカ人を象徴していると言っていいだろう。
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