アメリカカメラ事情その5 アメリカフィルム事情 コニカ発見

題はアメリカフィルム事情ですが、実はカナダの話も入っています(^_^;)。先月(2001年7月)旅行で東海岸に行って来ました。車でアメリカ大陸を走破しました。走行距離実に6000マイル(約9000キロ)です。日本なら1年分だった走行距離を半月で達成してしまいました。今回はキヤノンA−1(カラー用)とAE−1(モノクロ用)というきわめて健全な(?)組み合わせでした。1980年頃の標準装備ですね。フィルムは例によってフジのスペリアを大量に持って行きました。ところが思った以上にフィルムの消費が多く旅行半ばにしてフィルムの補充が必要になってしまったのです。これが北極とかアフリカなら大変なことですが、別にアメリカ大陸を旅行しているわけですからそれほど焦る必要はありません。しかし、アメリカ大陸と言っても、なめてかかると痛い目に遭います。

フィルムとは全然関係ない話ですが、去年の夏、旅行でソルトレイクシティに向かっていました。眠くなったので家内に運転を代わってもらい、そろそろ仮眠しようかと言う頃、燃料警告ランプが静かに点灯しました。「そろそろ給油しなきゃね」などと呑気なことを言っていたのですが、行けども行けどもガソリンスタンドが見つかりません。燃料計の針はついにマイナスを示し、いつエンジンが止まってもおかしくない状態になってしまいました。当然冷房はストップして、燃料節約モードです。脂汗とも冷や汗ともつかないじっとりとした汗をかきながらそれでもガソリンスタンドは見あたりません。「コレハマジデマズイカモシレナイ。」私はエンジンが止まったらパワステが切れてハンドルが重くなること、それでも気合いで路肩まで車を持ってくることを家内に指示して、エマージェンシーストップに備えました。運転を代わればいいんですが、そのためにいったん止まるのが怖かったんです。「ヒッチハイクしてガソリンスタンドまで行き、そこでガソリンを買うしかない」と思って心の準備をしました。「ヒッチハイクしたドライバーがホモだったらどうしよう」なんて心配する余裕もありません。ところが、車ってやつは「ヤバイ」と思ってからも結構走るモンですね。まあ、高速道路を時速120キロで走っていたせいもあるでしょうが、60キロくらいは軽く走ったと思います。何とかガソリンスタンドにたどり着き、事なきを得たのでした。アメリカも特にロッキー山脈から西部にかけてはこういう場所が少なくありません。カリフォルニアに行ったときはネバダ州で「この先100マイル(150キロ)ガソリンスタンドなし」と言う看板を見ました。あの、一応ここ高速道路なんですが。

しかし、今回の旅行は東部でしたので大丈夫。すぐスーパーに行ってフィルムを買うことができました。アメリカにもあるWal Mart(Vivitarの三脚とストロボを買った)がカナダにもありました。ここなら安心です。ところがカナダではフジもコダックも結構高いのです。そこで私は普段なら買わないスーパーマーケットブランドの安いフィルムを買うことにしました。ASA400(古い言い方です)の24枚撮りが6本入って14ドル。ドルと行ってもカナダドルですから米ドルに換算すれば7ドルです。これは安い!!これならどんなまがい物フィルムでもあきらめがつきます。ホテルに帰ってパッケージをよく見ると、なんと「Made in Japan」と書いてあります。安心のブランド「メイドインジャパン」だったのです。私ははやる気持ちを抑えつつ、パッケージを開けました。中身はなんとコニカ(さくらカラー)でした。もちろんフィルム自体にはWal Martとしか書いてありません。しかし、フィルム缶は見覚えのある丸いふたです。「そうか、コニカは全然見かけないが、こんな風にこっそりOEMしてるんだ。」初めて知りました。コニカは日本でもダイエーセービングフィルムにOEMしていたこともあります。コニカなら本当に安心です。このフィルムはいい買い物でした。

6本のフィルムを買いましたが、ニューヨークでまたしてもフィルムが不足してきました。今度は迷わずスーパーマーケットでフィルムを買いました。今度の店はWall Greenと言う薬屋系のスーパーです。例によってWall Greenブランドのフィルムがありますのでこれを買ってみることにしました。Made in Germanyの表示です。これは多分アレでしょう。パッケージを開けて確認、やっぱりアレでした。そこには見慣れたアグファの黒いフィルム缶がありました。日本で愛用していた、アグファにここで会うことができました。



こうしてみると、スーパーのフィルムも買いですね。コニカやアグファが出てくるのなら文句はありません。後は値段次第と言うところですね。

 ところでアメリカにはポラロイドの35mmフィルムと言うのがあります。私が日本にいた頃は見かけなかったんですが、今はあるのでしょうか?ポラロイドいえば、ポラロイドカメラとして代名詞になってしまうほどの、インスタントカメラの大ブランドです。そのポラロイドが35mmフィルム?なぜでしょう?

これは私の私見ですが、インスタントカメラの需要は先細りでしょう。デジタルカメラが銀塩写真を駆逐するという説がありますが、まず一番先に打撃をまず受けるのは多分間違いなくインスタント写真だと思います。撮影してすぐ見ることができるのは、デジカメも同じです。気に入った写真があれば「後からメールで送るね」となるのが最近の流れだと思います。インスタント写真なら全員分撮らなければ、写真を配布できません。しかもフィルムは決して安くありません。10枚撮りで1500円くらいでしょうか?これでは勝負になりません。デジカメの画質もインスタント写真なら十分対抗できそうです。
  ポラロイドもここ数年いろいろな商品を出して、インスタント写真の存続に躍起になっていますが、そろそろ別の道を模索していることでしょう。なんと言ってもポラロイドブランドのデジカメがあるくらいですから。
  そう考えるとポラロイドが35mmフィルムに色気を出しても不思議ではありません。で、このポラロイドのフィルムなんですが、安いんです。フジが$7.59、コダックが$8.99に対し、$5.94です。フジに$1の割引クーポンを使ってもまだポラロイドの方が安いのです。このフィルムの正体は何なんでしょう?

  と言うわけで早速買ってきました。パッケージを見ると、なんとこれもメイドインジャパンです。「なるほど!」と思いました。「きっとコニカだ。アメリカでコニカはほとんど見ないと思ったら、ポラロイドと提携を結んでOEMしていたんだ。」ところがパッケージを開けてみて、目を疑いました。中身はフジなんです。平たい蓋はフジのフィルム缶です。これはどうなっているんでしょう? 
 アメリカのネガカラーフィルム市場はコダックとフジでほぼ独占でしょう。しかもフジのフィルムはどこに行ってもコダックより約$1安いのです。その状況でどうしてポラロイドブランドでさらに安いフィルムを供給するのでしょうか?私は経済の常識がない人ですから、本当にわからないのですが、これはダンピング疑惑の対策なのでしょうか?

  しかし、何にせよ安いフィルムが手にはいるのはいいことです。しかも中身がフジならポラロイドのフィルムも大丈夫です。経済学の難しさを感じた、アメリカOEMフィルム事情でした。






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