フェチ？

　人の好みというのは千差万別である。女の子の好みとカメラの関係については「合コンの話」で書いたとおりだが、今回はもう少しディープな方向に考察を進めてみたい。

　あなたには何か特別な性癖と言うようなものはないだろうか？体の一部分が異常に好きとか、ある特定のユニフォームに対し過剰な反応するというアレである。いわゆるフェチである。ポピュラーな例としては脚、ハイヒール、ミニスカートなどがある。制服系ならセーラー服、キャビンアテンダント、白衣が人気であろうか。これは私がそうだというのではなく、そういう人たちのために世間一般に流通しているものを見ればなんとなくわかるのである。こういう業界だからこそ需要と供給の関係は完璧に成り立っているはずだ。微妙な好みをかぎ分けきれなかった場合は大量の不良在庫を抱えることになるのは間違いないから、供給する側も必死だろう。もちろんここにあげたのは比較的一般的な例で、もっとディープなものもいくらでもある。ＳＭなどはその筋の人でなければ理解不能だし、排泄物系は本当に勘弁してもらいたい。コミックマーケットなどはフェチとはちょっと違うが、これも他の人が理解できないと言う点においてはかなり深いものであろう。

　余談だが、３年前に小牧市に１ヶ月出張したことがある。小牧は何もないので日曜日には当然名古屋まで足を延ばした。ある日カメラを探すためにフリーマーケットに行ったつもりが間違えてコミックマーケットに行ってしまったことがある。なにをどう間違えたらそうなるのか自分でもよくわからないのだが、著しく食生活が悪化していた時期なので、あまり脳に栄養が回っていなかったのかもしれない。何かがおかしいとは感じていた。しかし確信はないし、早くカメラを探したかったのでつい入場料を払ってしまった。

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　残念ながら私にはまったくついて行けなかった。もっともついて行けたらそれはそれで困るのだが、しかしこれはどうしようもなかった。もちろん同好の士が集まって誰にも迷惑を掛けずに盛り上がっているのだから文句を言うのは野暮だし、そもそも好きでもない者がそんなところに行く方が悪いに決まっている。
　はっきり言って私は思いっきり場違いだった。カモフラージュのために同人誌を買おうとしたがそれすらできなかった。何かのパロディ物らしいのだが、そもそも元ネタを知らなければおもしろくも何ともない。そして怪しげな格好をした人の群。当然だが私は普通の格好をしていた。しかしこの場合の普通というのは会場を出てからの話であり、この会場の中では私の方が異常なのだ。ヌーディストの海岸にジャージ姿で舞い込んでしまったような感じと言えばご理解いただけるだろうか（かえってわからない）。この場合はむしろ私が普段職場で着ている服の方が違和感はなかったかもしれない。全然笑えない。

　ともかくフェチというのは、好きな人にはたまらないが好きでない人には理解不能と言うやっかいな物なのである。ここで、「じゃあカメラという物自体がフェチの対象なのですね」と言う意見についてはどうか勘弁していただきたい。そのとおりなのだが、話がそこに行き着くとそれ以上進まなくなってしまう。一応カメラ好きは「普通の人」の範疇、と言う前提で話を進めてゆく。

　さて、カメラにおけるフェチとは何だろう？「一眼レフが好き」とか「キヤノンＡシリーズが」と言うのは、まあマニアの一種ではあろうがフェチではないと思う。「好きでない人には理解不能」と言うほどでもないだろう。修理好きはちょっと危ないかもしれない。修理を前提でジャンクを探すのは、好きでない人にはちょっと理解できない行為だろう。しかし修理の工具を売っているサイトがあるので案外メジャーな趣味かもしれない。いやいやＳＭの道具を売っている店もあるではないか。店があるかどうかとフェチ度は全然関係ない。
　新品フェチは存在すると思う。私などは新品や新同にあまり価値を見いださない方だが、これが好きという人は一定数存在する。もちろんこんな私でも同じ値段なら新品同様の方がいい。しかし、たいてい新同はプレミアがついており、安い値段で完動品があればたぶんそっちを選ぶと思う。
　さて、私が選ぶ中古カメラの最大のフェチはこれである。「元箱」。これを好きな人は結構多いと思う。しかし、元箱自体はただの箱である。好きでない人には全くわからない。しかし、好きな人にはたまらない。そして好きな人が一定数存在する。フェチの条件を十分満たしているではないか。私の場合は引っ越しが多かったため、荷物を減らすために元箱は買ったその日に処分していたが、今考えるともったいない話である。しかし、今でも新品で買ったカメラのもと箱は何の未練もなく処分している。つまり、私は元箱フェチではないのである。

　しかし元箱に関しては、もしかすると「好きだ」と言う方が多数派で、興味のない方が少ないもしれない。そうすると私が異常なのだろうか？この不安は容易には払拭できない。





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