悲しい悲しい物語

カメラを盗まれたことありますか。私あるんです。カメラ好きにとってカメラというのはものすごく愛着があるものですから、単純に失ったものの金銭的な価値以上にショックを受けるものです。それが初めて自分で買ったカメラであったらなおさらです。

私が盗まれたカメラはキヤノンA−1です。それも中学生の頃、貯金をはたいて買った1台目のA−1です。このカメラは今日に至るまで今まで手にしたのどのカメラよりも思い入れの強いカメラでした。1台のカメラにすべての愛情を注ぎ、「そんなに磨いたら、すり切れてなくなってしまうよ」などとからかわれるほど、シリコンクロスで夜な夜な磨いていたカメラでした。多感な高校時代を一緒に過ごしたカメラで、本当に大切なカメラでした。それが、盗まれてしまったんです(T_T)。

大学に入った私は、体育会系のクラブに入りました。2年生の時そのクラブで遠征があり、下手くそな私は連れていってもらえなかったのですが、A−1は写真班の一員として遠征についていきました。そこで私のカメラがケースごと置き引きにあってしまったのです。A−1、NewFD50mmf1.8、NewFD70-210f4、スピードライト177A、パワーワインダーA2がなくなってしまいました。クラブの方から弁償されましたので金銭的な痛手はなかったのですが、精神的に大きなショックを受けました。当時はまだ新品のA−1も手に入ったのですが、なぜか私はかわりに中古のEFを買いました。それからしばらくの間、真剣に写真を撮ることがなくなりました。再び写真を撮り始めたのは今使っている2台目のA−1を中古で手に入れてからです。久しぶりにA−1に触ったときは感動しました。10年近くいじっていないのに、使い方は体が覚えていました。同じファインダー、同じダイヤル。「このカメラで写真を撮りたい」と久しぶりに感じたのでした。このA−1はもちろん今の私のメインです。ただ、もしこの2台目のA−1が再起不能になったり、あるいは盗まれたりしても、昔味わったようなショックはきっと受けないでしょう。淡々と次の代替機種を探すと思います。

カメラは一緒に行動して、感動する場面を一緒に経験するので、愛着は人一倍になります。もはや失ったカメラは二度と戻ってくることはありませんが、あのカメラが大切に最終的にいいユーザーに恵まれいまも健在であることを祈ります。






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