今回のテロについて
カメラには全然関係ない話題です。
テロから3週間近く経ちました。今回はテロについてちょっとお話しします。別に日記系のサイトを目指しているわけではありません。この文章だけをアップするのが怖くてAV−1と一緒に更新しました。まあ、自分のサイトですから、こういうわがままな日があっても良いでしょう。寝転がって読んでください。
私は日本よりも近い位置でテロを見てましたので(CNN経由で)今回のテロは色々学ぶことも多かったです。たとえば、テロ発生の危険性が生じたとき防災責任者は一番はじめに社員に何をさせると思います?車をビルから離すんですよ。実は車というのはものすごくテロに使われやすいものなのです。トランクなんて簡単に開けられますし、爆弾は遠隔操作で爆破できます。時限式でも良いでしょう。運転手がどこかに行ってる隙にトランクに爆弾を放り込めば、あとは運転手がテロの目的地まで爆弾を持って行ってくれるのです。検問も身分証明書があれば一発ですから、こんなに確実なことはありません。
テロ当日の午前中、私はよんどころない事情でオフィスを離れていたのですが、昼過ぎに戻ってきてびっくりしました。私の車の周りには1台も車がなくなっていて、私の車の周りに、小さな人だかりができているのです。「あの、どうかしたんでしょうか?」「これはお前の車か?」「そうですが」「良かった、レッカーしようかと思ったんだ」そこまで徹底的にやりますか?と思ったのですが、この国ではそれが当たり前みたいです。この場合の私の正しい行動は「用事を一端切り上げて、車を移動してからまた仕事を始める」だったようです。テロについて真剣に考えるというのはこういうことなのですね。
テロが起きてから、私は大変不便な思いをしています。オフィスの駐車場が閉鎖になり、オフィスから15分の場所に駐車場が設けられて、毎日シャトルバスに乗り換えて通っているのです。もちろん日本の通勤地獄に比べれば天国なのですが、やはり面倒くさい。早く通常態勢に戻って欲しいです。
テロがおきてからと言うもの、報復の話題がテレビにでない日はありません。日本も今回は、素早い反応で既に海上自衛隊が出港したと言う話ですね。この鮮やかな動きを見ていると、湾岸戦争って一体何だったんだろうと思います。リーダーシップのある指揮官を担げなかったのが日本の不幸だったのかもしれません。
昨日私の友人から次にようなemailが届きました。名前等は一切消して内容だけご紹介します。
---------------------------------------------------------------------------
生命のために団結−非暴力的制裁にYES!
2001年9月11日にニューヨークとワシントンで起こったテロ行為はひどいもので
す。
さらなる生命が奪われること、そして同じような悲劇が再び起こることを避ける
ために、私たちは関係する主要な指導者たちが非暴力的な制裁を選択することをa
要求します。暴力は、暴力と恐怖をさらに増大させるだけです。恐怖はテロを引
き起こします。
私たちは、暴力を使って、現在世界を破壊している紛争を解決することはできま
せん。
アメリカが爆弾を使って報復したら、私たちはどのようにしてさらなるテロ行為
が起こることを避けることができるでしょうか、結束しましょう!私たちの運命
をその手に握っている指導者たちが、これ以上罪のない命を危険にさらすことに
ならないような解決法を見つけるように圧力をかけましょう。
人間、そして私たち一人ひとりの中にある人間性は、この平和的な行動を通して
地球的な結束を呼びかけます。
私たちはそれを私たち自身のために、私たちの家族のために、そして未来の世代
のためにしなければいけません。
この署名を広めましょう。国々が団結して非暴力的な解決法を選び、テロに打ち
勝つために、行動しましょう。それは、私たち一人ひとりが生き残れるかどうか
の問題なのです。
署名方法:
1.このメッセージをコピーする
2.あなたの名前と市を書く
3.このメッセージをあなたのアドレス帳にあるすべての人にメールする
(転送しないでください。メッセージが長くなり過ぎないように、コピーして貼
り付けてください)
4.あなたの名前がリストの25番目に来たら、この署名をできるだけ早く。ジョ
ージ・W.ブッシュ大統領に送ってください。
同時にディック・チェニー副大統領と
ここへCCで送ってください。
この署名にサインしない場合でも、他の人へこれを送ることで、この努力と非暴
力へチャンスを与えてください。
生命と平和を保護する助けをありがとうございます。
私は、非暴力的な制裁を要求します:
------------------------------------------------------------------------------
日本人的と言えば日本人的な発想です。ですから私(日本人)にも、その真意はなんとなく理解できます。まさか、ブッシュ大統領のメイルボックスをパンクさせるという新手のテロではないでしょうし。ただのいたずらという説もあります。このメールが大統領に届くことは絶対ないでしょうし、もし本気なら自己満足的な運動でもあります。ちなみにウィルスはついてませんでした。
私は当然ながらこの運動には参加しませんでした。チェーンメールが胡散臭いからではなく主義主張が異なるからです。こういう平和的な運動というのは自然保護運動などと同じで正面切って異を唱えにくいのですが、ことテロについては平和的な解決は難しいでしょう。日本の新聞を見ても平和的な解決を求める社説がたくさんでていますが、私は当事者意識の欠如を感じてしまいます。「テロは対岸の火事ではない」とは言いながら「平和的解決を望む」と言う社説は一見矛盾していないように見えて、実は絵に描いた餅に等しいものなのです。「ブッシュ大統領がテロに対して報復すれば、それがまた報復テロを呼び、結局泥沼になってしまう。」と言うのが軍事力による報復反対の立場の人達の意見です。これはある程度は正しいかと思います。たしかにアメリカが報復すれば、テロリストはさらなる報復を考えるでしょう。しかしだからといって「アメリカが報復を止めれば、テロリストもテロを止める」と考えるのはあまりに短絡的すぎます。というがこれこそ絵に描いた餅です。
今回のテロはどうしておきたのでしょう?アメリカがなにかテロの引き金になるような決定的に悪いことをしたのでしょうか?私には思い当たりません。さしずめアメリカが「中東和平プロセスに熱心ではない」とか「基本的にイスラエルよりである」とか「サダムフセインに敵対を続けている」くらいのものです。そしてこれらのことは急に起きたわけではなく、今までも、そしてこれからもずっと続いて行くことです。テロの根本原因は全然解決されていないのです、と言うか解決不能なのです。アメリカがアメリカであることを止めない限り、テロの根本原因を解消するのは不可能です。
アメリカがテロに報復しなくてもテロは続きます。なぜならテロの最終目的が達成できないからです。去年の話ですがUSSコールと言う駆逐艦がイエメン沖で自爆テロに会いました(覚えていらっしゃるでしょうか)。海軍の軍人が20名近く亡くなり、コールも沈没寸前の被害を受けました。当時のクリントン大統領は怒りを口にしましたが、今に至るまで目に見える形で報復は行っていません。報復しない道を選んだのか、犯人の特定に時間がかかっていたのかは分かりませんが、結局報復をしなかったのに今回のテロはおきました。テロリストに「太陽政策」をとっても意味がないのです。彼らは「報復がないのは自分たちの更なる報復をおそれたからであり、テロはアメリカに対し有効な攻撃手段である」と結論付けどんどんエスカレートさせて行くでしょう。1970年代には日本赤軍によるハイジャックが年中行事のようにありましたが、これは日本政府がその都度、超法規的措置で収監中のテロリストを釈放し続けたためです。「仲間が捕まればまたハイジャックして釈放させる」の繰り返しでした。
テロリストに報復して、以後のテロを断ち切って例だってあります。1986年に西ドイツで米兵の集まるディスコをテロリストに爆破されたアメリカは、テロの首謀者だったリビアのカダフィ大佐に対し、飛行機100機以上を繰り出し空爆しました。その結果カダフィ大佐はテロリストのスターダムから降りることになりました。この場合は報復爆撃が有効に機能したのです。
「テロに対しては空港警備や交通機関の警備を強化して挑めばいい」と言う意見もありますが、それがテロの撲滅に対し有効に機能するとは思えません。もちろんやらないよりはずっと良いです。空港の警備は大切です。しかし、化学兵器はX線に写りません。水筒の中に化学兵器を入れて、飛行機の中で開ければそれだけでテロは可能です。もちろん空港警備を強化すれば銃を持ち込んでのテロはできなくなるでしょう。ただ、テロは方法を変えて必ず生き残っていくものです。
テロを撲滅するにはテロリストにテロを起こさせる気持ちを無くするようにし向けなければなりません。テロの目的を達成できれば止めるでしょうが、それは無理です。世界が崩壊します。あと一つ考えられるのが報復が怖くて、あるいは報復の被害が大きすぎて割に合わないのでテロを止めると言う気持ちにさせることです。いわゆるテロの抑止です。冷戦間にあった確証破壊戦略に近いものがあります。一端テロがあればアメリカは確実に報復すると言うことをテロリストが理解すれば、テロは容易にはできなくなるかもしれません。おそらくアメリカの狙いもそこでしょう。
それでは、アメリカは本当に本格的な武力侵攻をするのか?と言う話については私は否定的に考えています。今のアメリカの世論は多くのアメリカの若者が命を落とすような戦争を容認しません。この10年、アメリカはほとんど戦死者のいない戦争ばかりを経験してきました。ご存じの通り、湾岸戦争は作戦の規模からは考えられないくらい少ない犠牲者で済みましたし、コソボ空爆にいたっては戦死者ゼロです。「戦争があってもアメリカの若者は死なない」と言う気持ちがアメリカ人にはあります。ですから世論を敵に回すような作戦は、余程のことがない限りできないでしょう。わたしは今回の対テロ作戦はまだ、「余程のこと」ではないと考えています。更に今のアメリカ人は敵国であれ、罪のない民間人、特に子供達が傷つくことにも敏感です。そう考えると、米国軍人も傷つかない、敵国国民にも被害が及ばない作戦を行わなければならなくなります。米軍はそれが可能です。テロの首謀者とテロ関係の施設をねらって、ピンポイントで猛爆撃を掛けるのです。ステルス爆撃機でもいいですし、トマホークでもかまいません。どうしてもテロ首謀者をあぶり出す必要があるなら特殊部隊でしょう。ともかく地上軍を投入してアフガニスタンに侵攻することは私はないと思っています。
戻る(検索エンジン等でご来場のかた用です。左にメニューがでている方はそちらをご利用ください)