アメリカ日本語事情 ざけんなよ(ZAKENNAYO!)

すみません、今回もカメラとは全く関係のない話題です。あしからず。

私の日本人の知り合いに大学で日本語を教えている先生がいます。私はときどき彼女に頼まれて日本語のクラスでゲストスピーカーなどをして、授業のお手伝いを無償で(ボランティアで)しています。お手伝いと言っても大したことはしていません。日本語の会話の相手役をしたり、主に男性が使う日本語の紹介をしたりする程度です。話によると女性の先生が日本語を教えると、男の子の学生も女性的な日本語を使うようになるんだそうです。ですから、六本木あたりでおねえ言葉を使う外人がいても、必ずしも「自分とは違う世界の人」であるとは限りません。どうか、先入観を持たずに接してください。もちろん、「違う世界の人」ある可能性も否定できませんが。

ところで、先日うちでパーティをやりました。そのパーティには日本語クラスの学生さんがたくさん来ました。日本語クラスの学生の中に私が「不良外人」と呼んでいる男の子がいます。日本の女の子が大好きでインターネットを利用して日本のアイドルタレントをチェックしているような子です。ちなみに彼のお気に入りは「ともさかりえ」なのですが、まあその辺は好みの問題として(^_^;)、長い休みにはちょくちょく日本にも行っているそうで、まさに「不良外人」です。そのパーティに彼が怪しげな本を持ってきていました。私は教える側の強みで彼からその本を奪い取りました。

本のタイトルは

ZAKENNAYO!(ざけんなよ!)

サブタイトルは

学校では絶対教えてくれなかった本当の日本語

(The real Japanese you were never taught in school)

この本がなんというか、すごいんです。全編を「いかに日本の女の子をナンパするか」に費やしているんです。すべてローマ字か英語で日本語は全くありません。日本語をまったく知らないアメリカ人でもとりあえず必要な会話が(何に?)マスターできるようになっています。例文がたくさんあり、これさえ暗記すればOKって感じです。

たとえば

Kenny:     Hi! Derumo mitai-na kanojyo o-cha shinai?

OL:        Yoisho shitatte dameyo. Mata kondone.

Kenny:     Ja rennraku saki oshiete kureyo.

OL:        Nara eigo shabereru-yo ni naritai kara, oshiete-yo.

Kenny:     Maj ni kondo, boku no uchi de, puraibeto ressun shiyo-yo.

日本語訳(原本にはありませんが)

ケニー:    ハイ! デルモみたいな彼女 お茶しない?

OL:      ヨイショしてもだめよ。また今度ね

ケニー:    じゃ連絡先 教えてくれよ

OL:      なら、英語しゃべれるようになりたいから、教えてよ。

ケニー:    まじに今度僕のうちで、プライベートレッスンしようよ

「デルモ?」「お茶しない???」「ヨイショ?????」いまどきこんなことを言う奴は日本人でもいません。それより、本来英語のはずの「プライベートレッスン」をローマ字で書いているところが泣かせます。

英語訳

Kenny:     Hey, babe! I bet all the bots love you. How about some tea?

OL:        Thanks for the compliment but no way. See you next time.

Kenny:     Okay. How can e get in touch?

OL:        I hope you can teach me English. I want to be able to speak.

Kenny:     No kidding. Tell you what, let’s have a private lesson in my room.

このダイアログは、ほんの序の口でさらに下品な方向に話が進んでゆきます。

STREET GIRL:     Ima no ameko hansamu de moteso na kanji, nigashita sakana wa ookikatta kamo ne.

YANKI:           Gaijin to yaritai no?

STREET GIRL:     So yo. Gaijin wa are ga ooki te iu janai?

YANKI:           Demo, gaijin no chinchin wa funya chin nan datte.

STREET GIRL:     Demo,braza no musuko wa koka kora no bin mitaitte iu yo.

YANKI:           Atashi-wa hama o no hooga ii.

日本語訳

ストリートガール:今のアメ公、ハンサムでもてそうな感じ。逃がした魚は大きかったかもね。

ヤンキー:  外人とやりたいの?

ストリートガール:そおよ、外人はあれが大きいって言うじゃない。

ヤンキー:  でも、外人のチンチンは「ふにゃチン」なんだって。

ストリートガール:でも、ブラザーの息子はコカコーラのビンみたいって言うよ。

ヤンキー:  あたしは、ハマオのほうがいい。

こんなくだらない会話をわざわざローマ字にしないでくれ!と言いたくなります。ちなみに私は「ハマオ」の意味が分からず英語の方を読んで納得しました。

英語訳

STREET GIRL:     That Yank was good-looking, the popular type. 

You sure let a big fish get away.

YANKI:           You want to do it with a foreigner?

STREET GIRL:     Yeah.  Haven’t you heard?  Foreigners have big one.

YANKI:           They might have big dicks, but they’re soft dicks from what I hear.

STREET GIRL:     When it comes to the brothers, the “little boy” is the size of Coke bottle.

YANKI:           Hammer boys are good enough for me.

さらに泣かせることには、ダイアログの最後のページにVocabularyリストがあって、「ふにゃチン:soft dick」や「あれが大きい:It’s big; he has a big dick」の意味がいちいち載っているのです。はっきり言って情けない。

この調子で外人が日本の女の子を六本木でナンパして最終的に行くところまで行くんですが、まあ何というか、日本もなめられたモンです。こんな本を読んだやつが日本に上陸するかと思うとめまいがします。このホームページには女性読者はほとんどいないと思いますが、気をつけましょうね。まだまだ夏は続きます。また、ni-chome(2丁目:新宿2丁目)という章もあり、その方面の方に必要な会話も勉強できるようになっています。まさに、至れり尽くせりです。男性の方も気をつけた方がいいかもしれません。まあ、しかし、これが男の子にとってはもっともいい日本語の教材なんでしょうね。「不良外人」君はちゃんと必要な会話を暗記していましたから。教科書は見向きもしないくせに。





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